セキュリティチェック業務は誰の仕事なのか
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セキュリティチェック業務は誰の仕事なのか?担当部署の決め方と役割分担

セキュリティチェック業務は誰の仕事か
特定の部署だけで完結する業務ではなく、最終判断は社内の承認ルールに基づき、権限を持つ人が会社として行うものです。情シスは技術的な見立て、総務・法務はルールと責任、取引担当(営業・購買など)は取引とのバランスというように、役割を分けて考えると判断が一人に集中しにくくなります。

セキュリティチェック業務について話をしていると、必ず一度はこんなやり取りが出てきます。

「これは情シスの仕事ですよね?」
「いや、契約の話だから法務では?」
「取引先対応なので営業がやるべきでは?」

結局、誰の仕事なのかはっきりしないまま、一番詳しそうな人に集まっていく。多くの会社で起きている現象です。

この記事では、なぜ担当が曖昧になるのか、よくある役割分担の失敗パターン、そして担当部署を決めるときの現実的な考え方を解説します。

なぜ「誰の仕事か」が分からなくなるのか

セキュリティチェック業務には、大きく二つの立場があります。

一つは、取引先から届いたチェックシートに自社の状況を回答する業務です。もう一つは、自社が委託先や取引先へチェックシートを送り、その回答を確認して取引可否を判断する業務です。

回答する場合は、設問ごとに社内の情報を集める役割が必要です。委託先を確認する場合は、回答を評価し、取引条件を決める役割が必要です。どちらも一部署だけでは完結しにくい点が、担当を曖昧にする原因です。

いずれの立場でも、実際には次の要素が混ざっています。

  • 技術的な話(情シス)
  • 契約・責任の話(法務・総務)
  • 取引判断の話(取引担当・経営)

どれか一つだけで済むチェックは、ほとんどありません。そのため「全部分かっている人」が必要になり、結果として特定の個人に業務が集まっていきます。この構造は「セキュリティチェック業務が属人化する原因」(内部リンク①)とも地続きです。

よくある役割分担の失敗パターン

失敗パターンには共通点があります。どれも「一つの部署に全部を任せる」形になっていることです。

情シスに丸投げする

「セキュリティだから情シスでしょ」というパターンです。確かに、技術的な項目は情シスが一番詳しいことが多いです。

ただし、取引として進めてよいか、条件付きOKにするか、リスクをどこまで許容するか——こうした判断は、技術だけでは決められません。情シスに判断まで任せると、責任の所在が曖昧になります。

総務・法務が全部見る

逆に、規程・契約・ルールの側から、総務や法務がまとめて見る形もあります。この場合、技術的な妥当性が分からない、現場の実態が見えない、というズレが起きやすくなります。結果として、「書いてあること」と「実際」が噛み合わなくなります。

取引担当が対応しきってしまう

取引先から直接依頼が来るため、窓口である営業や購買、委託元の部門がそのまま対応する形もあります。スピード感はありますが、分からないまま回答してしまう、できていないことを「できている」と書いてしまう、といったリスクが高くなります。これは担当者個人の問題ではなく、構造的に無理がある状態です。

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担当部署の決め方——役割分担の現実的な考え方

セキュリティチェック業務は、「誰か一人の仕事」にしないほうがうまくいきます。部署ごとの役割は、次のように分けて考えると判断しやすくなります。

各立場が「担うこと」と「一人で背負わないこと」を対比させると、次のようになります。

立場担うこと一人で背負わないこと
承認権限者・事業責任者OK/条件付きOK/NGの最終判断技術・契約の個別評価
情シス・セキュリティ担当技術的な見立て、不足点と代替策の提示取引可否の最終判断
総務・法務・個人情報担当規程との整合、契約上の責任範囲、再委託・事故時の扱い技術的な妥当性の評価
取引担当(営業・購買・委託元部門)取引目的、条件の実現可能性、相手との調整セキュリティ要件の単独判断
主管担当回答の収集、関係部署への確認、進捗と記録の管理専門領域の単独判断

判断の主体は「会社」であり、最終判断は承認権限者が行う

大前提として、セキュリティチェックの最終判断は、社内規程や承認ルールに基づき、権限を持つ人が会社として行います。OKにする、条件付きOKにする、NGにするという判断を、チェックを担当した個人だけに背負わせるものではありません。案件の規模やリスクに応じて、部門長、情報セキュリティ責任者、事業責任者などに権限が委譲される形もあり、重大なリスクや例外案件は経営判断に上げます。

情シスは「技術的な見立て」

情シスの役割は、技術的に見て危ないかどうか、現状で何が足りていないか、代替策が考えられるかを示すことです。判断材料を出す役割であって、最終判断を一人で背負う役割ではありません。

総務・法務は「ルールと責任」

総務や法務は、規程との整合性、契約上の責任範囲、再委託や事故時の扱いを確認します。「守るべき前提条件」をはっきりさせる役割です。

取引担当は「取引とのバランス」

営業・購買・委託元の部門は、取引として進める意味、条件を付けた場合の現実性、相手との関係性を踏まえて調整します。セキュリティを軽視する役割ではなく、現実的な落としどころを考える役割です。

主管担当は「進行と記録」

見落とされがちなのが、全体を進める役割です。設問ごとに関係部署へ確認を依頼し、回答を集め、進捗と記録を管理する——この進行役が決まっていないと、専門の見立てが揃っていても業務は前に進みません。主管担当は専門領域を単独で判断する役割ではなく、判断に必要な材料を揃えて承認につなげる役割です。

なお、社内の点検と委託先へのチェックでは、業務の性質が異なります。委託先チェックは外部組織を評価し、取引条件や継続可否につながる判断を含む業務です。この違いは「社内チェックと委託先チェックの違い」(内部リンク②)で詳しく解説しています。

専任がいない中小企業ではどうするか

中小企業では、これらの役割を部署として分けるのは現実的ではありません。一人が複数の役割を兼務しても構いません。ただし、今どの立場で確認し、誰が最終的に承認したのかは分けて記録します。

そのうえで、役割の考え方だけは分けておくと楽になります。

  • 今は「技術の話」をしているのか
  • 「契約・責任の話」をしているのか
  • 「取引判断の話」をしているのか

これを意識するだけで、一人に判断が集中しにくくなります。兼務で回している会社ほど、「どの帽子をかぶって話しているか」を明示する価値があります。

「誰がやるか」より大事な3つのこと

セキュリティチェック業務で本当に大事なのは、「誰がやるか」よりも、次の3点が満たされているかです。

  • 判断基準が共有されているか
  • 判断理由が残っているか
  • 後から説明できるか

これができていれば、担当者が変わっても業務は回ります。逆にこの3点が欠けたまま担当だけ決めても、その人の頭の中に判断が溜まっていくだけです。チェックシートの回収から確認・差し戻しまでの流れがなぜ必要かは、「セキュリティチェックシートはなぜ必要か」(内部リンク③)でも扱っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. セキュリティチェックシートの回答は誰が書くべきですか?

設問の内容によって書き手が変わります。技術的な項目は情シスやシステム担当、規程・契約に関する項目は総務・法務が答え、取りまとめ役が全体の整合を確認する形が現実的です。一人がすべてを埋めようとすると、分からない項目を推測で書いてしまうリスクが高くなります。

Q2. 委託先へのセキュリティチェックは、どの部署が主管すべきですか?

決まった正解はありません。委託の内容によって、情シス・品質管理・総務・購買などが主管する形がそれぞれあり得ます。重要なのは主管部署がすべてを判断することではなく、技術・契約・取引のそれぞれの見立てを集めて、会社としての判断に繋げる進行役を明確にすることです。

Q3. 専任担当がいない会社では、どこから手を付ければよいですか?

まず「最終判断は会社として行う」ことを決め、判断の理由を短くても記録に残すところから始める方法があります。役割を分ける体制づくりは、その後で十分です。判断基準と理由が残っていれば、担当が兼務でも引き継ぎは成り立ちます。

Q4. セキュリティチェックの最終判断は誰が行うべきですか?

社内の承認ルールに基づき、取引やリスクを承認する権限を持つ人が行います。案件によって、事業責任者、部門長、情報セキュリティ責任者、経営者などが考えられます。重要なのは、回答を確認した担当者が一人で取引可否まで背負うのではなく、技術・契約・取引上の見立てを集めたうえで、権限者が会社として判断することです。

まとめ

セキュリティチェック業務は、情シスだけの仕事でも、法務だけの仕事でも、営業だけの仕事でもありません。会社として判断するための業務です。

専任部署を設けたり、担当者を細かく分けたりする必要はありません。ただし、進行、技術評価、契約確認、取引判断の役割は区別しておく必要があります。一人で抱えず、判断を共有し、理由を残す。それだけで、この業務はかなり健全になります。

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