社内チェックと委託先チェックは、同じ「セキュリティチェック」という言葉で呼ばれても、誰が答え、確認する側とどういう関係かが異なります。そこから、目的、設問の基準、否定的な回答の扱い、回答後の対応、結果の用途まで変わります。
この記事では、社内チェックと委託先チェックの違いを、回答者・確認する側との関係・目的・設問の基準・否定的な回答の扱い・回答後の対応・結果の用途という軸で比較します。社内と委託先を分けたうえでどう横断して管理するかは別記事で、社内の自己点検そのものの進め方も別記事で扱うため、ここでは両者の違いに絞ります。
社内チェックと委託先チェックの違い
先に、比較軸を一覧にまとめます。
| 比較軸 | 社内チェック | 委託先チェック |
|---|---|---|
| 回答者 | 自社の部署・従業員 | 委託先・取引先の担当者 |
| 確認する側との関係 | 同じ組織内 | 別の組織 |
| 主な目的 | 自社の実態把握・改善 | 委託先の状況把握・取引判断の材料 |
| 設問の基準 | 社内規程や実際の運用に合わせる | 委託内容や自社の確認基準に合わせる |
| 否定回答の扱い | 改善・追加確認の対象 | 追加確認・条件検討・取引判断の材料 |
| 回答後の対応 | 社内で対応し、必要に応じて再確認 | 追加確認・差し戻し・必要に応じた条件検討 |
| 結果の用途 | 内部改善・教育・再確認 | 取引判断・条件確認・継続確認 |
以下、それぞれの軸を見ていきます。
回答者と、確認する側との関係
社内チェックは、自社の部署や従業員に答えてもらい、確認するのも自社です。同じ組織の中なので、業務の背景を確認しながら、社内の役割や権限に沿って改善や再確認につなげられます。
委託先チェックは、取引先や委託先の担当者に答えてもらい、確認するのは依頼する自社です。別の組織なので、社内ルールによって直接統制する関係ではありません。契約や合意した要求事項、自社の確認基準に基づいて確認します。この立場の違いが、以降の軸すべての前提になります。
目的の違い
社内チェックの目的は、自社の実態を把握し、ルールと実務のズレを見つけ、改善につなげることです。問題が見つかることは、対処すべき点が分かったということです。
委託先チェックの目的は、取引先の状態を確認し、取引を続けるか、条件を付けるかを判断する材料をそろえることです。改善を求める場合もありますが、判断が中心になります。
設問の作り方の違い
社内チェックの設問は、社内規程や実際の運用に合わせて作れます。ルールが守られているか、現場の実態と無理がないかを確認する形にします。
委託先チェックの設問は、委託内容や自社の確認基準に合わせ、相手が回答できる粒度で作ります。取引先の種類や委託内容が異なる場合は、それに応じて確認項目を分けます。
否定的な回答の扱いの違い
社内チェックでは、「未実施」「NO」「分からない」などの回答は、改善または追加確認が必要な項目として扱います。
委託先チェックでは、否定的な回答は、それだけで取引不可を意味するものではありません。追加確認や条件の検討、取引判断の材料として扱います。
回答後の対応の違い
社内チェックでは、なぜできていないのか、業務上の制約は何かを確認しながら、社内で改善を進めます。
委託先チェックでは、改善を求める内容・期限・取引条件との関係を伝え、必要なら差し戻して追加確認します。
判断結果を何に使うか
社内チェックの結果は、内部の改善や教育に使います。どこを直すか、誰に何を周知するかの材料になります。
委託先チェックの結果は、取引を進めるか、条件を付けるか、次回いつ確認するかといった判断に使います。取引判断の根拠として記録に残す場面もあります。
違いを前提に横断して管理する場合
社内チェックと委託先チェックを分けて運用しながら、回答状況・判断理由・証跡・差し戻しを共通の軸で横断して管理する考え方は、社内・委託先チェックを一元管理する考え方で扱っています。この記事では両者の違いに絞り、横断管理の方法には立ち入りません。
社内の自己点検の進め方
社内チェックの一つである情報セキュリティの自己点検について、確認する項目や進め方、実施の頻度、IPAの自社診断の使い方は、情報セキュリティの自己点検とは?社内セルフチェックの項目と進め方で扱っています。ここでは自己点検の手順そのものには立ち入りません。
マモリスで扱える範囲
社内チェックと委託先チェックを分けて運用する場合、マモリスでは目的ごとに別のチェックシートを作成し、回答者を登録して依頼できます。毎週・毎月・毎年から選べる繰り返し依頼、回答確認、差し戻し、コメント記録、回答・確認・差し戻し履歴の保管に対応しています。回答者はログイン不要のURLから回答できます。
どの設問を使い、どの回答を問題と判断するかは組織側で決めます。
まとめ
社内チェックと委託先チェックは、誰が答え、確認する側とどういう関係かが異なり、目的・設問・否定的な回答の扱い・回答後の対応・結果の用途も変わります。社内チェックは把握と改善、委託先チェックは確認と判断が中心です。
両者を同じ設問・運用にそろえると、それぞれの目的に合わない確認内容が含まれる可能性があります。目的と立場の違いを踏まえて設計を分けることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 社内チェックと委託先チェックは、同じチェックシートを使い回せますか?
そのまま使い回すと、片方の目的に合わない設問が含まれる場合があります。社内は自社の運用に合わせた設問、委託先は委託内容や確認基準に合わせた設問、と分けて作る方法があります。
Q2. 委託先チェックで否定的な回答があったら取引停止ですか?
停止とは限りません。委託先チェックの否定的な回答は、追加確認や条件の検討、取引判断の材料になります。
Q3. 社内チェックの自己点検の項目や進め方が知りたいです。
自己点検の項目・進め方・頻度・IPAの自社診断の使い方は、社内セルフチェックの記事で扱っています。この記事は社内チェックと委託先チェックの違いに絞っています。
Q4. 社内と委託先のチェックをまとめて管理したいです。
回答状況・判断理由・証跡・差し戻しを共通の軸で横断して管理する考え方は、一元管理の記事で扱っています。
Q5. 委託先には自社と同じ基準を求めるべきですか?
自社内部のルールをそのまま委託先へ当てはめるのではなく、委託内容やリスク、自社が求める確認基準に応じて設問と判断基準を決めます。
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経済産業省やIPAのチェックシートを参照していても、回答を集めたあとに「どれを確認し終えたか」「誰が判断したか」までは別で管理していることが多いと思います。
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