セキュリティチェックシートを依頼しても、回答がなかなか進まない場面もあります。その理由には、依頼する側で直せるものと、相手の事情によるものがあります。依頼文で目的や範囲、問い合わせ先をはっきり伝えると、依頼する側で直せる部分の負担を減らせます。
この記事では、取引先や委託先へセキュリティチェックシートを依頼する側に向けて、依頼文で伝える項目と、改善前後の例文を紹介します。チェックシートを受け取って回答する側の進め方は、取引先からセキュリティチェックシートが届いたらで扱っています。
回答が進まない理由を分ける
回答が進まない理由は、依頼する側の伝え方で減らせるものと、相手の社内の事情によるものに分けて考えます。
| 依頼する側で減らせる理由 | 相手の事情によるもの |
|---|---|
| 何のための確認か、回答がどう使われるかが書かれていない | 守秘義務や社内の規程で、開示できない情報がある |
| どの業務・どの範囲について答えればよいかが分からない | 回答の担当者が不在、または異動した |
| 必要な資料が、回答の途中で初めて分かる | 資料をそろえるのに時間がかかる |
| 期限の理由が書かれていない | 社内での確認や承認に時間がかかる |
| 問い合わせ先が書かれていない | 同じ時期に多くの依頼が届いている |
| 回答が難しい場合の連絡方法が書かれていない | — |
依頼文を直しても、相手の事情によるものはなくなりません。相手の事情には、依頼文で連絡先と相談の方法を示しておき、個別に話し合って対応します。
依頼文で伝える項目
依頼文には、次の項目を入れておくと、相手が回答の準備を始めやすくなります。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 目的 | 委託先管理の一環として、年1回の確認を行うこと |
| 対象 | 当社が委託している「○○業務」に関わる体制について答えてほしいこと |
| 回答の範囲 | 会社全体ではなく、当社の業務に関わる範囲で答えればよいこと |
| 必要な資料 | 添付してほしい資料と、資料がない場合の扱い |
| 期限とその理由 | 回答期限と、その日にした理由(社内の確認の日程など) |
| 問い合わせ先 | 設問の意味が分からないときの担当者と連絡先 |
| 回答が難しい場合 | 期限に間に合わない、開示できない項目があるときの連絡方法 |
| 回答の使い道と開示の範囲 | 回答を社内のどの範囲で使い、どのように保管するか |
設問そのものの分かりやすさも、回答のしやすさに関わります。記入例の示し方や、空欄のまま提出されるのを減らす方法は、チェックシートの空欄提出を防ぐには?で紹介しています。
依頼文の改善前後の例
架空の依頼文で、改善前と改善後を比べます。例文はそのまま使う定型文ではなく、自社の業務と相手に合わせて書き換える前提の例です。
改善前:
件名:セキュリティチェックシートご回答のお願い いつもお世話になっております。 添付のセキュリティチェックシートに、○月○日までにご回答ください。 よろしくお願いいたします。
この依頼文では、何のための確認か、どの業務について答えればよいか、資料が必要か、分からないときに誰に聞けばよいかが分かりません。
改善後:
件名:【○○業務】委託先セキュリティ確認(年次)ご回答のお願い(期限:○月○日) いつもお世話になっております。○○株式会社の△△です。 当社では、委託先管理の一環として、年に1回、委託先の皆さまのセキュリティ対策の状況を確認しています。今回、貴社に委託している「○○業務」について、添付のチェックシートへのご回答をお願いいたします。 ■ご回答いただきたい範囲 貴社全体ではなく、当社の○○業務に関わる体制についてご回答ください。 ■ご準備いただきたい資料 ・情報セキュリティ方針(公開しているものがあれば、その案内で構いません) ・その他の資料は、設問ごとに記載しています。資料がない場合は、その旨をご記入ください。 ■回答期限 ○月○日(当社の確認を○月中に終えるため、この日を期限としています) ■設問の内容が分からない場合、回答が難しい場合 期限までのご回答が難しい場合や、社内の規程などにより開示できない項目がある場合は、下記までご連絡ください。代わりの資料や確認の方法、期限についてご相談させていただきます。 ■回答の取扱い ご回答の内容は、当社の委託先管理の担当部署で確認し、社内の規程に沿って保管します。 担当:○○部 △△(電話:○○、メール:○○)
改善後の例では、目的・対象・回答の範囲・資料・期限の理由・問い合わせ先・回答が難しい場合の連絡方法・回答の取扱いを入れています。この内容で回答が得られる、資料を提出してもらえる、というものではありませんが、相手が何を準備すればよいか、困ったときに誰に連絡すればよいかが分かる状態にできます。
回答が難しいと連絡があったときの進め方
依頼文に連絡先を書いておくと、開示できない項目や期限の事情について、相手から相談が届く場合もあります。そのときは、次のように進めます。
| 相手からの連絡 | 確認すること | 話し合える対応の例 |
|---|---|---|
| 社内の規程で開示できない項目がある | どの設問の、どの情報が開示できないのか | 有無だけの回答で足りるか、公開している資料や第三者認証の範囲で代えられるか、閲覧での確認でよいかを相談する |
| 回答の担当者が不在、または異動した | 現在の窓口と、回答できる時期 | 新しい窓口へ依頼を送り直す、期限を相談する |
| 社内の承認に時間がかかる | 承認の予定日 | 承認後の提出を前提に期限を相談する。先に回答できる部分だけの提出を受けるかを決める |
| 資料をそろえるのに時間がかかる | どの資料に時間がかかるのか | 資料の提出だけ期限を分ける、必要な部分の抜粋で足りるかを相談する |
話し合って決めた内容(代わりの資料、変更した期限、未回答のまま進める項目)は、後から経緯が分かるように記録しておきます。依頼する側が対策や資料の提出を一方的に求める形は避け、相手の事情を聞きながら決めます。経済産業省・公正取引委員会の資料では、セキュリティ対策の実施要請自体を直ちに独占禁止法上の問題とはしていません。一方、要請の方法や内容によっては、優越的地位の濫用として問題になり得ると説明しています。
添付する資料は、相手に共有してよい範囲で選ぶ
依頼文に添付する資料は、相手が回答の準備に使えるものにします。たとえば次のような資料です。
- 設問ごとの記入例(どの程度の内容を書けばよいかが分かるもの)
- 当社の委託先管理の考え方のうち、相手に共有してよい部分の抜粋
- 参考にしている公開資料の案内(公的機関のガイドラインなど)
社内向けの評価基準の全文や、他の委託先の回答のように、相手に共有すべきでない資料は添付しません。
依頼した後に回答を追う
依頼を送った後は、誰から回答が届き、誰が未回答かを管理します。期限前のリマインドや期限後の催促、回答を受け取った後の確認までの進め方は、チェックシートの回収管理で、管理表の記入例とあわせて紹介しています。
マモリスで最初に試すこと
依頼内容をチェックシート上で伝え、回答の受け取りと確認を進めたい場合は、チェックシートのツールで試す方法があります。マモリスでは、回答者はログイン不要・無料で回答でき、下書きを保存して後日続きを入力できます。
- 無料登録し、チェックシートを1つ作る。チェックシートの説明文に、依頼文の項目(目的・対象・回答の範囲・期限の理由・問い合わせ先・回答が難しい場合の連絡方法)を書く。相手に共有してよい参考資料は、資料のURLやファイルとして添付する(チェックシートごとに、URL・ファイルそれぞれ最大5個まで)
- 取引先・委託先1社に回答を依頼する。依頼するときに選ぶ「依頼者」は、回答者に届くメールとチェックシートに、回答を依頼した人として表示されます。問い合わせ先になる担当者を選んでおくと、相手が連絡先を見つけやすくなります
- 回答一覧で、回答前・回答中・回答済みの状態を確かめる。届いた回答を開き、「開示できない」「資料なし」などと記載された設問を確認し、次回の依頼文と設問の見直しに使う
メールや電話で受けた問い合わせは、社内の記録に残します。届いた回答と問い合わせの記録を見比べ、説明を補う設問を決めてください。
マモリスは、Excelやメールでやり取りされていた
チェックシートの登録、配布、回収、管理を
すべてオンラインで完結させるクラウドサービスです
よくある質問
Q1. 依頼文を直せば、回答してもらえるようになりますか?
回答が得られることまでは約束できません。依頼文で減らせるのは、目的や範囲が分からない、問い合わせ先が分からない、といった依頼する側で直せる理由です。開示できない情報や社内の承認などの相手の事情には、連絡を受けて個別に相談します。
Q2. 「社内の規程で回答できない」と言われた場合はどうすればよいですか?
どの設問の、どの情報が開示できないのかを確かめます。そのうえで、有無だけの回答で足りるか、公開している資料や認証の範囲で代えられるか、閲覧での確認でよいかを相談します。決めた内容は記録に残しておきます。
Q3. 回答の期限はどのように決めればよいですか?
質問の数、必要な資料、相手の社内での確認や承認の有無から決めます。期限の理由を依頼文に書いておくと、相手が社内で優先度を判断しやすくなります。期限に間に合わない場合の連絡方法も、あわせて書いておきます。
Q4. チェックシートのツールを使えば、回答しにくさは解決しますか?
依頼文の書き方や設問の作り方は、ツールを使うだけでは変わりません。ツールで扱いやすくなるのは、依頼の送付、回答状況の把握、回答の確認や差し戻し、経緯の記録といった部分です。
参考情報
本記事は、以下の情報をもとに作成しています(2026年10月16日確認)。
