部署や拠点から届いた複数のExcelファイルを「1つにまとめる」といっても、作りたい形は人によって違います。各部署のシートを1つのブックに並べたいのか、同じ形式の表を1本の表につなげたいのか、部署ごとの数値を合計したいのかで、使う機能が変わります。
この記事では、まとめたい形ごとに方法を分け、それぞれの手順と、うまくいかないときの確認点を紹介します。Power Queryの手順は、Windows版のExcelを対象に、Microsoftの公式資料にもとづいて説明します。
まとめたい形を先に決める
| やりたいこと | 完成イメージ | 使う方法 | この記事で説明する環境 |
|---|---|---|---|
| 複数のブックのシートを、1つのブックに集めたい | 1つのブックに各部署のシートが並ぶ | シートの移動またはコピー(Web版はデータのコピーと貼り付け) | デスクトップ版とWeb版を分けて説明 |
| 同じ形式の表を、1本の表にまとめたい(別々のファイル) | 1つの表に全部署の行が縦に並ぶ | Power Query(フォルダーから) | Windows版Excel |
| 同じ形式の表を、1本の表にまとめたい(同じブックの中のシート) | 同上 | VSTACK関数 | VSTACK関数を使えるExcel |
| 部署ごとの数値を合計・平均したい | 集計結果の表が1つできる | 統合 | デスクトップ版 |
各方法を使えるExcelのバージョンは、それぞれの節で紹介するMicrosoftのページで確認できます。
シートを1つのブックに集める
各部署のファイルの中身をそのまま残し、1つのブックにシートとして並べたい場合の方法です。
デスクトップ版のExcelでシートを移動・コピーする
- まとめ先のブックと、移したいシートがあるブックの両方を開く
- 移したいシートの見出しを右クリックし、[移動またはコピー]を選ぶ
- 移動先のブックに、まとめ先のブックを選ぶ
- 挿入する位置を選ぶ。元のファイルにもシートを残す場合は[コピーを作成する]にチェックを入れる
- [OK]を選ぶ
Mac版では、[編集]メニューの[シート]から移動・コピーを選ぶなど、操作の入り口が異なります。手順はワークシートまたはワークシートのデータを移動またはコピーする(Microsoft サポート)のmacOSの説明を確認してください。
Microsoftは、シートを別のブックへ移すと、そのシートのデータを参照している数式やグラフの結果が変わる場合があるとしています。移した後は、数式とグラフが意図どおりの値になっているかを確かめます。
Excel for the webの場合
Excel for the webでは、シート見出しを右クリックして別のブックへシートを移動・コピーする操作は使えません。Microsoftの案内では、次の手順で同じ結果を得ます。
- 移したいシートのデータをすべて選択してコピーする
- まとめ先のブックを開き、空白のシートを追加する
- 追加したシートの最初のセルに貼り付ける
この方法では、セルに設定していた条件付き書式は引き継がれません。
同じ形式の表を1本の表に結合する
部署ごとのファイルに同じ列の表が入っていて、全部署の行を1つの表に並べたい場合の方法です。毎月同じ形式のファイルが届くなら、Power Queryを使うと、次回からは更新の操作で取り込み直せます。
結合する前に揃えること
Microsoftの資料では、フォルダー内のファイルを結合するには、各ファイルが同じスキーマを持つ必要があるとしています。具体的には、次の3点です。
- 列見出し(項目名)が同じ
- 各列のデータの種類(日付・数値・文字)が同じ
- 列の数が同じ
列の並び順は同じでなくてもかまいません。列は列名で照合されるためです。
あわせて、次の準備をしておくと、結合した後に困りにくくなります。
- 各ファイルに「部署」の列を入れておく(結合した後に、どの部署の行かを見分けるため)
- 1つのファイルには、結合する表を1つだけ入れる
- 結合するファイルだけを入れたフォルダーを用意する。結合した結果を保存するブックは、このフォルダーとは別の場所に置く(結果のブックが取り込み対象に混ざらないようにするため)
- 各ファイルで、結合する表が入ったシートの名前(表をテーブルにしている場合はテーブルの名前)を揃える。Power Queryは、サンプルにしたファイルで選んだシートやテーブルを手がかりに、ほかのファイルからも同じものを取り込むため、1つのファイルに表が1つあるだけでは、名前が違うファイルを正しく取り込めない場合があります
| ファイル | 1行目(列見出し) |
|---|---|
| 営業部.xlsx | 日付|部署|件名|金額 |
| 総務部.xlsx | 部署|日付|金額|件名(並び順が違うが、列名は同じ) |
| 品質管理部.xlsx | 日付|部署|件名|金額 |
この3ファイルを結合すると、1つの表に3部署の行が並びます。もし品質管理部だけ「金額(円)」のように列見出しの表記が違っていると、取り込みの欠落やエラーの原因になります。結合する前に、列見出しの表記を揃えてください。
Power Queryでフォルダー内のファイルを結合する
Windows版Excelでの手順を、Microsoftの資料にもとづいて説明します。画面の表記はExcelのバージョンによって異なる場合があります。
- 結合するファイルだけを1つのフォルダーに入れる。関係のないファイルや、同じデータの修正前と修正後の版を一緒に入れない。結合した結果を保存するブックは、このフォルダーの外に置く
- [データ]→[データの取得]→[ファイルから]→[フォルダーから]を選び、フォルダーを指定する
- ファイルの一覧が表示されたら、必要なファイルがすべて含まれていて、余計なファイルがないことを確かめる
- 一覧の下にある[結合]から、結合してPower Queryエディターを開くコマンド(Microsoftの日本語ページでは[結合と変換]と表記)を選ぶ
- ファイルの結合のダイアログで、サンプルにするファイルと、取り込むシート(または表)を選び、[OK]を選ぶ。ここで選ぶシート名やテーブル名は、すべての対象ファイルで同じにしておく(「結合する前に揃えること」を参照)
- Power Queryエディターで、取り込んだ内容を確かめる
- 結合した表の行数が、各ファイルの行数の合計と合っているか
- 「部署」の列に、すべての部署が含まれているか
- 列見出しが揃っているか
- 日付・金額などの列が、想定したデータの種類になっているか
- [ホーム]タブから、ワークシートに読み込むコマンド(Microsoftの日本語ページでは[読み込み & 閉じる]と表記)を選ぶ
結合のダイアログには、エラーのあるファイルを読み飛ばす設定もあります。この設定を使うと、エラーになったファイルは結果から抜けます。取り込み漏れに気づきにくくなるため、通常は使わず、エラーが出たらそのファイルの列見出しや表の形を直します。使う場合は、どのファイルが除外されたかを確かめ、手順6の行数と部署の確認を必ず行ってください。
翌月以降の更新とフォルダーの扱い
結合の設定をしておくと、フォルダーの中身を入れ替えて更新すれば、同じ手順を繰り返さずに取り込み直せます。フォルダーの扱いは、集計の対象によって変わります。
| 集計の対象 | フォルダーの扱い | 注意すること |
|---|---|---|
| 毎月のデータを積み上げて集計する | 新しい月のファイルを同じフォルダーに追加して更新する | 同じ月・同じ部署の修正版を追加すると、元の版と二重に取り込まれる。修正版を入れるときは、元の版をフォルダーから外す |
| 当月分だけを集計する | 前月のファイルをフォルダーから移し、当月のファイルに入れ替えて更新する | 移したファイルのデータは結果から消える。前月分を残したい場合は、結果を別に保存してから入れ替える |
| どちらの場合も | 更新した後に、行数と部署の一覧を前回と比べる | 件数が想定と違えば、フォルダーの中身とエラーの有無を確かめる |
同じブックの中のシートを結合する:VSTACK関数
結合したい表が同じブックの別々のシートにあり、列の構成が同じなら、VSTACK関数で縦につなげられます。
=VSTACK(営業部!A2:D50, 総務部!A2:D50, 品質管理部!A2:D50)
この例では、各部署のデータが2〜50行目に入っているものとします。実際のデータが入っている範囲に合わせて指定してください。データの入っていない行も結合対象になるため、範囲には必要なデータ行だけを指定してください。また、結果は数式を入力したセルから下と右に広がって表示されるため、表示先には結果の行数・列数分の空きが必要です。
元のシートのデータが変わると、結果も変わります。見出し行は範囲に含めず、結果の上に1行だけ置きます。VSTACK関数は、列を列名ではなく位置でつなげるため、各シートの列の並び順を揃えておく必要があります。列の数が違う範囲を指定すると、足りない部分に #N/A が表示されます。使えるExcelのバージョンはVSTACK 関数(Microsoft サポート)で確認してください。
数枚だけなら、コピーして貼り付ける
まとめるファイルが数個で、一度きりの作業なら、1つ目の表の下に2つ目以降の表を貼り付け、重なった見出し行を消す方法で十分です。Microsoftも、数枚のシートを結合するだけの場合に向く方法として紹介しています。
部署ごとの数値を集計する:統合機能
行を並べるのではなく、部署ごとの数値を合計・平均した表を1つ作りたい場合は、[データ]→[統合]を使います。
- 各シートで同じ位置に数値が並んでいる場合は、位置で統合する
- 位置は違うが、同じ項目名(ラベル)を使っている場合は、項目名で統合する。項目名の表記がシートごとに違う(「平均」と「平均値」など)と正しく対応しないため、先に揃える
Microsoftの資料によると、統合機能はExcel for the webにはありません。手順は複数シートのデータを統合する(Microsoft サポート)で確認できます。
うまくいかないときの確認点
| 症状 | 考えられる原因 | 確認すること・対処 |
|---|---|---|
| 列が想定どおりに揃わない、値が入らない列がある | 列見出しの表記がファイルごとに違う | 結合する前に列見出しを揃え、更新する |
| 関係のないデータが混ざる、同じ行が二重にある | フォルダーに別のファイルや、同じデータの別の版がある | 結合するファイルだけのフォルダーにし、版の重複を外す |
| 一部の部署の行がない | シート名や表の形がサンプルと違う。エラーのあるファイルを読み飛ばす設定にしている | 対象ファイルの形をサンプルと揃え、読み飛ばしの設定と行数を確かめる |
| 日付や金額が計算に使えない | セルの表示形式は日付・数値でも、元の値が文字になっている(例:「1,000円」と入力されている)。または、Power Queryの中でその列のデータの種類が想定と違う | セルの表示形式とデータの種類を分けて確かめる。元の値が文字なら元のファイルの値を直すか、Power Queryでその列のデータの種類を変更し、変換できなかった値がないかを確かめる |
Excelで十分な範囲と、まとめた後に残る作業
ファイル数が少ない、形式が揃っている、一度きりや年に数回の作業であれば、ここまでの方法で十分です。毎月の作業でも、Power Queryの設定とフォルダーの扱いを決めておけば、Excelのまま続けられます。
一方で、まとめる作業とは別に、毎回残る作業もあります。
- まだファイルを出していない部署を探す
- 修正版を受け取ったときに、どれが最新かを判断する
- 内容に不備があれば、部署に戻して直してもらう
提出済みと未提出の部署をExcelで突き合わせる方法は、チェックシートの未回答者をExcelで抽出する方法で紹介しています。期限の決め方や催促の進め方は、チェックシートの回収管理で扱っています。
回収の段階から見直す場合
集めているExcelの中身が、各部署・拠点の点検や確認の結果(実施したかどうか、確認した内容、根拠になる資料)で、それを毎月・毎年のように定期的に依頼しているなら、ファイルを集めてからまとめる方法とは別に、回答を集める段階から見直す方法もあります。売上や経費などの明細表を集計する作業には向きません。
マモリスは、Excelファイルを結合したり、回答の数値を集計したりする機能は持っていません。共通のチェックシートを各部署に配り、ログイン不要のURLから回答してもらい、どの部署が回答済みか、どんな回答だったか、差し戻したかどうかを同じ画面で確認する仕組みです。ファイルの版や未提出の確認でつまずいている場合の詳しい課題は、セキュリティチェックをExcelで管理する限界でも扱っています。
試す場合は、次の順番で進めると、自社の業務に合うかを判断しやすくなります。
- 無料登録し、いま部署から集めている点検・確認の項目を、チェックシートの設問にする(実施したかどうかは選択式、補足は備考欄、根拠資料はファイル添付の設問)。複数のテンプレートから始めることもできます
- 1〜2部署の担当者を回答者として登録し、回答を依頼する
- 回答状況の一覧で回答済み・未回答を確かめ、届いた回答を開いて、設問ごとの確認やコメント、差し戻しを試す
マモリスは、Excelやメールでやり取りされていた
チェックシートの登録、配布、回収、管理を
すべてオンラインで完結させるクラウドサービスです
よくある質問
Q1. 部署ごとのExcelファイルを1つにまとめる一番簡単な方法は何ですか?
ファイルが数個で一度きりなら、コピーして貼り付ける方法が手軽です。同じ形式のファイルを繰り返しまとめるなら、Power Queryでフォルダーごと取り込む方法が向いています。シートのまま1つのブックに並べたい場合は、シートの移動またはコピーを使います。
Q2. ファイルごとに列の並び順が違ってもPower Queryでまとめられますか?
Microsoftの資料では、列は列名で照合されるため、並び順が同じである必要はないとされています。ただし、列見出しの表記・データの種類・列の数は揃えておく必要があります。
Q3. 翌月に結合し直したら、前月のデータが二重になりました。
フォルダーに、同じ月や同じ部署の別の版が残っていないかを確かめてください。積み上げて集計する場合も、修正版を入れるときは元の版をフォルダーから外します。当月分だけを集計する場合は、前月のファイルをフォルダーから移してから更新します。
Q4. Excel for the webでもまとめられますか?
シートは、データをコピーして別のブックの空白のシートに貼り付ける方法でまとめられます。統合機能はExcel for the webにはありません。Power Queryのフォルダーからの取り込みは、この記事ではWindows版Excelを対象に説明しています。
参考情報
本記事は、以下の一次情報をもとに作成しています(2026年10月14日確認)。
