マモリスを検討し始めると、Excelから移行すればそれだけで楽になる、と考えたくなります。実際、Excelとメールでのチェックシート運用は、ファイルの管理や差し戻しのやり取りだけでも手間がかかっていることが多いためです。
ただ、何も整理しないまま導入すると、どのチェックを移すか、誰に出すか、誰が確認するかを決める段階で止まりやすくなります。マモリスは業務を自動的に置き換えるものではなく、チェックシート業務を回しやすくするための仕組みです。中に何を入れるかは、導入する側で決める必要があります。
この記事では、マモリス導入前に整理しておくとよいことを、目的・対象範囲・役割・判断基準・最初に回すチェックという軸でまとめます。
そもそも自社にマモリスが向いているかどうかは、「マモリスが向いている会社・向いていない会社」も参考になります。
導入前に整理する目的は、完璧な設計を作ることではない
導入前にすべてを決め切る必要はありません。ここで整理するのは、最初の1サイクルを止めないための最低限の内容です。
完璧なテンプレートを作り込むより、最初に回すチェックを1つ決めるほうが優先度は高くなります。細かい部分は、導入後の1ヶ月で実際に回しながら整えていく前提で問題ありません。
チェックシートを業務として継続的に回す考え方については、「チェックシート活用法を業務として成立させる」でも解説しています。
1. 何のためにチェックするのか
チェックシートを運用する目的は、会社によって、また部署によって異なります。
- 新規取引の可否判断
- 継続取引の確認
- 委託先リスクの把握
- 社内点検
- 品質・安全確認
- 証跡回収
- 説明責任への備え
目的が曖昧なまま設問を作ると、対象者や判断基準がぶれやすくなります。「このチェックで何を判断したいのか」を、まず言葉にしておくことをおすすめします。
2. 誰に、どのチェックを出すのか
対象範囲も、導入前に決めておきたいポイントです。
- 委託先すべてか、一部の取引先か
- 社内向けのチェックも含めるか
- 品質・安全・総務・法務など、他部署でも使うか
最初からすべてを対象にする必要はありません。まずはよく使うパターンだけを対象にし、最初に回すチェックを1つ決めるところから始めると進めやすくなります。
人数が多い場合はCSVインポート、部署や取引先ごとに分けたい場合はグループ管理を使うと、後の依頼や状況確認がしやすくなります。
セキュリティチェック以外の業務にも対象を広げられる理由は、「マモリスがセキュリティチェック専用ではない理由」で解説しています。
3. 誰が作成し、誰が依頼し、誰が確認するのか
チェックシート業務には、いくつかの役割があります。
- 管理者(チェックシートを作成・管理する人)
- 回答者(チェックシートに回答する人)
- 確認者(回答内容を確認する人)
- 判断者(最終的に可否や対応を判断する人)
導入前に、この役割を分けておくことが大切です。1人にすべて集まっている場合でも、最低限、内容を共有できる人を決めておくと、後々の引き継ぎがしやすくなります。
判断そのものをツールに任せるという発想ではなく、判断の経緯を残しやすくするための運用として設計しておくと、属人化を減らしやすくなります。担当者が変わっても、なぜその判断に至ったかを引き継ぎやすくなる、という程度に捉えておくとよいでしょう。
役割が集中しやすい背景については、「セキュリティチェック業務はなぜ属人化するのか」でも扱っています。
4. 回収後にどう判断するのか
回答済みと確認済みは、別の状態です。回答が集まった時点では、まだ内容を見ていない可能性があります。
導入前に、次のような点を整理しておくと、回収後の運用がスムーズになります。
- 回収後に誰が確認するか
- 何を見たら差し戻すか
- どこまで確認したら確認済みとするか
- 条件付きで確認した理由をどう残すか
- 改善フォローが必要な項目をどう扱うか
- NGや要対応が出たとき、どこまで追うか
とくに「条件付きで確認した理由」は、後から見返したときに判断の根拠がわかるよう、記録を残す場所を決めておくと安心です。
5. 必ず聞く項目と、必要なときだけ聞く項目を分ける
すべての設問を毎回同じように聞く必要はありません。
- 毎回必ず聞く項目
- 特定の取引先だけに聞く項目
- 社内向けだけに聞く項目
- 添付資料が必要な項目
- URLで確認できる項目
このうち、テンプレート化すべき部分と、個別チェックとして扱う部分を分けておくと、導入後の設計がしやすくなります。質問数が多い場合は、質問グループで分けておくと、回答者にとっても答えやすい構成になります。すべてを1枚のシートに詰め込もうとすると、後から整理し直す手間が増えます。
6. 回答状況の確認とフォローの考え方を決める
回答期限を設けるかどうかも、チェックの性質によって変わります。
- 期限を設けるチェックか、期限なしでもよいチェックか
- どのタイミングで回答状況を確認するか
- 未回答や回答不足があったとき、誰がフォローするか
回答状況は、状況を確認しながら、必要に応じてフォローする、という運用が現実的です。すべてを自動で処理しようとするより、確認のタイミングと担当者を決めておくほうが、実際の運用には近いはずです。
7. Excelやメールとどこまで併用するか
導入直後にすべての業務を切り替えられるとは限りません。ただし、併用のルールがないまま進めると、同じ情報を二重に管理することになりがちです。
- 回答依頼はマモリス、社内報告はExcelといった役割分担
- どこをマモリスに寄せるか
- どこを一時的に残すか
- いつ見直すか
このあたりを事前に決めておくと、移行期間中の混乱を減らせます。
8. 最初の1ヶ月で回すチェックを1つ決める
ここまでの整理のゴールは、最初の1ヶ月で回すチェックを1つ決めることです。
選ぶ基準としては、次のようなものが挙げられます。
- 関係者が少ない
- 回答確認や差し戻しが発生する
- 繰り返し使う予定がある
- 証跡や資料の添付が必要
- 内容が複雑すぎない
このチェックを実際にどう回していくかは、別記事「マモリス導入後、最初の1ヶ月でやるべきこと」で詳しく扱っています。
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導入前にやらなくていいこと
導入前の整理というと、つい網羅的にやりたくなりますが、次のようなことは最初から目指さなくても構いません。
導入後に定着させる進め方については、「マモリスを社内に定着させるコツ」でも解説しています。
- すべてのチェックを完璧に作り直す
- 全部署の要望を最初から反映する
- すべてのテンプレートを用意する
- Excelを完全に廃止する
- 全社展開のルールを細かく決め切る
まずは1つのチェックを回せる状態にすることを優先し、残りは導入後に少しずつ広げていく形で十分です。
導入前チェックリスト
- 何のためにチェックするか決まっている
- 最初に回すチェックが1つ決まっている
- 誰に依頼するか決まっている
- 誰が回答内容を確認するか決まっている
- 何を見たら差し戻すか決まっている
- 判断理由をどの場面で残すか決まっている
- 前回回答をどう扱うか決まっている
- Excelやメールとの併用ルールが決まっている
- 回答状況を誰が確認するか決まっている
- 2ヶ月目以降に広げる対象がぼんやり見えている
よくある質問(FAQ)
Q1. マモリス導入前に、最初に整理すべきことは何ですか?
A. 最初に整理すべきなのは、何のためにチェックするのかです。目的が曖昧なままだと、対象者、設問、判断基準、差し戻しの基準がぶれやすくなります。
Q2. 導入前に、すべてのチェックシートを整理しておく必要はありますか?
A. いいえ。最初からすべてを整理する必要はありません。まずは最初の1ヶ月で回すチェックを1つ決め、そのチェックを作成・依頼・回答・確認・差し戻しまで回せる状態にすることが大切です。
Q3. 既存のExcelチェックシートはそのまま使えますか?
A. そのまま移すこともできますが、長年の運用で残っている不要な項目や、回答者が答えにくい表現が含まれている場合があります。導入前に、必ず聞く項目と必要なときだけ聞く項目を分けておくと、運用しやすくなります。
Q4. 導入前に回答期限やフォローのルールも決めるべきですか?
A. 回答状況を誰がどのタイミングで確認し、必要に応じて誰がフォローするかは決めておくとよいです。期限を設けるチェックと、期限なしでもよいチェックを分けて考えると整理しやすくなります。
Q5. 導入前に完璧な運用ルールを作るべきですか?
A. 完璧な運用ルールを最初から作る必要はありません。まずは1つのチェックを回せる最低限のルールを決め、導入後1ヶ月で実際に使いながら調整していくほうが現実的です。
導入からしばらく経ったあとの見直し方については、「マモリス導入後、半年後に見直すべきポイント」でも扱っています。
まとめ
マモリス導入前に整理すべきことは、完璧な設計を作ることではありません。目的、対象範囲、役割、判断基準、フォロー方法、そして最初に回すチェックを整理することです。
自動化に期待する前に、誰が何を判断するのかを決めておく。まずは1つのチェックを回せる状態を作る。この整理ができていると、導入後の最初の1ヶ月で小さく始めやすくなります。
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